元中国在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて中国に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系中国ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

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日本から新型コロナウイルス(COVID-19)が蔓延する中国へ。北京で14日間隔離されることになりました。

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人生で初の「隔離」。しかも海外で単身。不安で胃に穴が空きそうです。

 

経緯


2020年2月23日現在世界中に混乱をもたらしている「新型コロナウイルス」(COVID-19)ですが、今これを日本でお読みの皆さんよりも私ははるかに大きな影響を受けています。


今年、私は1月中旬に少し早めに旧正月休みに入り日本に一時帰国しました。その時点で新型肺炎が武漢で流行しているという話は耳にしていましたが、個人的にはあまり深刻に捉えてはいませんでした。


しかしその後、1月20日に習近平氏が対策を指示し、1月23日に武漢が閉鎖されて以降はもう坂を転がるように状況が悪化していったわけです。


中国に戻る予定の日が近付いても状況は好転どころか悪化し続け、会社からは社員全員に対し、現在いる場所に一先ず留まり、在宅勤務をするよう指示がありました。勝手に会社に戻ってきてはならないとも言われました。ただ、この1月下旬の時点で会社の幹部に対しては緊急招集の連絡がいっていたそうです。


私が普段利用している全日本空輸(ANA)は東京-北京便を大幅に減便。連日会社からの連絡をチェックしつつ落ち着かない日々を過ごしていました。


2週間ほど在宅勤務を続けた後、会社から今後の方針が通知されました。その内容は、役職持ちの者をとりあえず北京に呼び戻し、北京に着いたら14日間隔離、平社員は引き続き在宅勤務を続けるようにというものでした。外国人構成員への対応に関しては幹部の中でも意見対立があり、どうにも状況がよくわかりませんでした。


親しい幹部からは「こんな時期に国際空港を利用するのは危険過ぎる。日本に留まるべき。」との連絡。別の幹部にも一応意見を聞いてみたところ、「個人的に絶対に戻ってこいとは言えないけれど、あなたが中国人なら北京に即時戻ることは義務。戻ってこない場合、欠勤扱いになって後ほど給料からその分が引かれる可能性がある。」とのこと。借金持ちの私に選択の余地はありませんでした。


私は最近湖北省を訪れたわけでなければいわゆる濃厚接触者でもなかったため、正直14日間の隔離の必要性に関しては疑問を持ちました。ただ、これはもう地方自治体が決めたことのようで、文句を言って回避できるようなものではなかったのです。


隔離場所は職場近くのビジネスホテルとのことでした。食事に関しては平日のみ弁当の注文が可能とのことで、土日を凌ぐための食料や生活用品を買い込みスーツケースに詰めれるだけ詰めて空港へ。ANAの東京-北京便に関しては、本来なら羽田と成田合わせて毎日3往復が就航しているのですが、現在は羽田-北京間の1往復のみとなっています。今回はその便を利用しました。

 

いざ、北京へ


当日の羽田空港の様子はいつもと大きくは変わりませんでした。普段よりは人が少ないものの、マスクをしていない人もそれなりにいて、日本は本当に平和だなと。(心の声:日本人危機感なさ過ぎ!)


ただ、いつもと同じ使用機材であるB777-300ER型機に搭乗した瞬間、異様な雰囲気を感じました。まず、機内はガラガラ。7割くらいは空席でした。そして特筆すべきは日本人乗客と中国人乗客の装備の違いです。日本人はその辺で売っているごく一般的なマスクのみ。中国人は皆N95マスクをしていて、半分くらいは医療用の手袋をしていました。あの手袋は普段市中で見かけるようなものではありませんから目立ちますし、「自分が本当にヤバい場所に行くんだな」とより一層不安になりました。


機内での時間はいたって普通。CAさんはマスクこそしているものの機内サービスはいつも通りでしたし、何せ機内がガラガラなので隣も空席で非常に快適でした。


ただ、特筆すべきことが一点だけ。機内でこんなカードを渡され、記入したものを到着後に空港の職員に提出する必要がありました。

 

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もっとも、私は現在同様の項目(最近湖北省を訪れたかどうかなど)に関して毎日会社への報告が義務付けられていますから、同じ内容を何度書かせるんだか、、、としか思いませんでしたが。


ほぼ定刻通りに北京首都国際空港に到着。平常時に比べ空港には非常に人が少なく、入国審査も待ち時間ゼロでした。


空港のスタッフはN95マスクに手袋を装着。空港内を見渡してみても、一般人の中にマスクをしていない人は一人もいませんでした。マスクをせずにいようものなら袋叩きにでも遭いそうな物々しい雰囲気がありました。


タクシーが利用可能なのか不安に思いながらも乗り場に向かってみたところ、いつもの行列は皆無、お客さんがいなくて暇なタクシードライバーたちが数人で談笑をしていました。


空港から直接宿へ。車が全く走っていないわけではありませんでしたが、普段は渋滞することの多い街中でも車は非常に少なく、恐ろしく早く目的地に到着しました。まだまだ北京という街では新型肺炎のせいで経済が停止したままなのだなと、そんな現実を突きつけられた道中でした。

 

14日間の隔離


宿に着き、チェックイン。


フロントにはミネラルウォーターが詰まった段ボール箱が一つ。飲み水のことが心配だったため事前に会社の秘書さんに聞いておいたところ、代わりに買っておいてくれたとのこと。平日に関しては、決まった時間に秘書さんがロビーのテーブルに私の名前を書いたタグ付きの弁当(有料)を置きに来てくれるそうで、WeChat(日本のLINEに相当するメッセージアプリ)でメッセージを受け取ったら取りに来いとのことでした。隔離中に部屋から出ていいのだろうか?と一瞬思ったものの、これに関してはもう仕方がないのでしょう。秘書さんに客室まで行かせるわけにもいかないのでしょうから。そもそも、それなりに部屋数のあるホテルなのにも関わらず、泊まっているのは私を含め数人だけのようで、感染リスクはかなり軽微と言えるかと思います。なお、もちろん客室の清掃やシーツ交換、タオル交換等の宿側の「サービス」は皆無。部屋はボロくて狭く、食事は平日のみでしかも貧相な弁当であるという点を考慮すれば、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の中で隔離された人たちは恵まれているなと思わずにはいられませんでした。


隔離後既に数日が経過し、今も室内でこれを書いているわけですが、当初思ったよりもだいぶしんどいです。独りぼっちで寂しいし、外の空気が吸いたいし、散歩がしたいし、まともなものが食べたいし、お酒だって飲みたいです。この中では、特に孤独感がキツイです。クルーズ船で隔離された人たちの多くは夫婦だったわけで、やはりまだだいぶ恵まれていたのだろうな、などとつい思ってしまいます。


もうしばらく隔離は続きますが、とりあえず残りの日数をなるべく心乱さず乗り切れたらと思っています。

 

皆さんへのメッセージ


今これをお読みの皆さんに、いくつか伝えたいことがあります。大事な話です。


まず、新型コロナウイルスを甘く見てはいけません。東京ではまだマスクすらしていないような人が大勢いますが、なぜ日本の皆さんは危機意識を持てないのでしょうか?


新型コロナウイルス肺炎の致死率は高くありません。しかしながら、肺の奥深くにダメージを与えるため、将来肺疾患に罹患する確率や寿命に影響する可能性が大いにあります。「治癒=元通りになる」とは限らないのです。


「マスクは感染者が着用してこそ意味がある」という意見もありません。ウイルスはマスクのフィルターの目よりも小さいためこれはある意味正しいのですが、飛散した唾などの飛沫よりはマスクの目の方が細かいため、ある程度の「盾」にはなります。要は、明らかに「なりよりはマシ」なわけで、そうであれば着用した方がいいに決まっているのです。しかも、今回のウイルスの場合、そもそも自分自身が罹患しているのかどうかが容易にはわかりません。症状がない感染者もたくさんいるわけですから。


SNSで拡散されている通り、既に東京には検査を受けていない(というか受けることができない)感染者がたくさんいます。東京オリンピック開催中止を回避するため、日本政府及び東京都はあえて検査を受けさせないという政策を現在とっています。これは一般常識的、倫理的には明らかに間違っていますが、日本経済のことを考えれば闇雲に批判もできません。経済悪化でも人はたくさん亡くなりますから。貧困で亡くなったような事例はニュースのネタにすらならないのです。


ですから、自分の命や健康はご自身で守ってください。


注意すべきことをいくつか書いておきます。


まず、最も重要なのは丁寧な手洗いと消毒です。ドアノブや電車の吊り革、スマホの画面等の表面がツルツルした場所に付着した新型コロナウイルスは2日間くらいは生き延びることができます。


そしてマスクの”正しい”着用。中国に戻る前、東京でマスクを表裏逆に着用している人を結構な数見かけて驚きました。最も一般的なブリーツタイプの場合、ヒダが下を向いている方が外側です。逆につけると上を向いたヒダの間に埃やウイルス、花粉などが溜まってしまい非常に不衛生です。


そして免疫力が良好な状態を保つことも大事です。糖質ダイエットは本件が沈静化してから再開しても遅くはないかと思います。三食バランスの良いものをしっかり食べましょう。どうしてもダイエットしたいという方は、せめてビタミンCのサプリメントは摂取してください。ドラッグストアで安価で売っています。あとは十分な睡眠も極めて重要です。


また、不要不急な外出は控えましょう。「それでは経済が、、、」などと言う人がいますが、そういうことを言うようなタイプの人間が事態を悪化されるのです。経済のことなど政府や官公庁で働いている上級国民さんたちに任せておけば良いのです。私が心配しているのは、皆さんや皆さんの家族、そしてつい数日前に生まれた私の姪っ子の生命や健康のことです。


私も最初は、今回の新型コロナウイルスに関して、「今冬インフルエンザで1万4千人以上が既に死んでいるアメリカに比べれば軽微な話」だなんて言っていました。ただ、上述の通り、どうやら致死率だけで語るのは間違っているようなのです。5年後10年後20年後の健康に影響を与えるとしたら、これはこれで非常に恐ろしいことです。


皆さん、落ち着いて、冷静に、正しく怖がりましょう。