元中国在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて中国に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系中国ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

帰国のために解決すべきコロナ関係の幾つかの問題

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今の私にとってコロナ以上に怖いのは、国家権力による各種制限。

 

現状


現在、私は幾つかの問題に直面しています。


私は2月に日本から北京に戻ってきて以降、日中両国の入国制限のせいで一時帰国ができずにいるのですが、気付けば一時帰国どころか本帰国の準備を進めるべき時期になってしましました。今年、私は今の仕事を辞めて日本に本帰国することになっているのです。退職日も既に決まっています。


コロナ問題が発生しなければ話は簡単でした。本帰国の前に2回ほど一時帰国をして、私物やこちらの銀行口座に残っているお金を日本に移し、最後は口座も携帯も解約してスッキリした状態で帰国する予定でした。


しかし最早それどころではないというか、他に解決すべき問題が新たに色々と生じてしまい毎日頭を悩ませています。


私の置かれている状況は決して一般的なものではありませんから、こういう話をここに書くことに意味があるのかはわかりませんが、備忘録も兼ねてざっと記録しておきたいと思います。

 

幾つかの問題


現在私が直面している諸問題の中には、中国国内のコロナ対策によるものもあれば日本側の入国制限によるものもあります。以下、思いつく順番で挙げていきたいと思います。

 

飛行機


現在北京から日本へは直行便が飛んでいません。また、他の都市経由の便に関しても、1社あたり1週間に1便以下という制限かかかっていますから全体的に便数はかなり少ないです。日本大使館がまとめた情報によると、現在利用可能なフライトはたったのこれだけのようです。

 

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また、この航空券がまたやたらと高いのです。3時間程度の短距離便にも関わらず、片道で16万円くらいします。駐在員なら会社が負担してくれるのでしょうが、現地採用の私は当然自腹ですから本当に痛いです。


更に、乗り継ぎ便利用となると他の都市に一旦移動しなければならないわけで、それに関連した問題の発生も心配です。例えば、現在北京の外から市内に入る際には、14日間の隔離を経てPCR検査を受け陰性であることが条件になります。そんな状態ですから、例えば上海発の便に乗るために上海のホテルで1泊する必要が生じたとして、問題なくチェックインできるのだろうか?といった点に関して現在心配しています。

 

家財道具


年単位でこちらで暮らしたわけで、冬物の衣類や靴、仕事関係の書籍といった私物がそれなりの量こちらにはあります。これらをどうやって日本に持って行くかという問題なわけですが、現在、国を跨いだ物の移動も部分的に止まってしまっているようですから、何らかの方法で日本まで送れるのかどうかすらよくわからない状況です。


更には、現在「社区」と呼ばれる居住区の内側には運送業者等は一切入れないようになっていますから、家財道具を運び出すだけでも大変です。なのでまあ、捨てられるものはもう思い切って捨ててしまって、、、という感じに最終的にはなるのかもしれません。

 

お金の移動


中国からお金を国外に持ち出すのはかなり大変です。特に外国人の場合、気をつけないと銀行口座にロックがかかり預金が引き出せなくなる可能性すらあるそうです。

 

chinalover.hatenablog.com


当初は数回に分けてハンドキャリーで現金を運ぶ予定でしたが、それも一時帰国ができない以上難しくなってしまいました。規定の額以上を持っていて空港で万が一バレたら没収されてしまいますしね。


解決策に関しては現在検討中ですが、やはりこちらの銀行口座は維持した上で、後日お金を取りに戻るしかないのかなと今のところは考えています。ただ、戻ってこられるのは中国が入国制限を解除した後ということになりますから、一体いつになるのやら。


また、こちらの銀行口座には外国人に関してはパスポート番号が紐付いているのですが、私は来年パスポートの期限が切れるので番号も新しくなります。銀行でパスポート番号の変更手続きが必要になるのですが、これには日本大使館が発行する書類が必要だったりとなかなか大変なようです。今から気が重いです。

 

日本入国後の制限


そしてこれが今の私にとってはある意味最も厄介な問題なのですが、日本入国後の各種制限に関してです。


まず、現在中国からの旅客機が到着可能なのは成田と関空だけです。そして、入国した者は国籍を問わずPCR検査を受けることになるそうです。検査結果が出るまでに1~2日間ほどかかるらしいのですが、まあここまでは問題ありません。鼻に綿棒を突っ込まれ感度が6割程度しかない馬鹿げた検査を受けるだけ(※日本ではPCR検査よりもむしろ抗体検査を実施すべきだと私は考えています)ですから。


問題はこの後です。14日間の自己隔離が「要請」されるわけですが、日本人に関しては基本的には自宅で過ごすことが想定されています。なので私も家に帰るだけではあるのですが、、、なんと、公共交通機関を使わないで帰宅することが「要請」されるそうなのです。


家族等に迎えに来てもらうか、もしくは自分でレンタカーを借りて帰れとのことなのですが、成田か関空にしか到着できないわけで、例えば道民や沖縄県民は一体どうすればいいのか?という話になるわけです。


外務省のホームページによると、帰宅が難しい場合は空港付近のホテルで過ごすように、ただその場合でもホテルへの移動に公共交通機関は使わないように、といったようなことが書いてあるのですが、自腹でホテル14泊はなかなか厳しいものがあります。例のクルーズ船の乗客がホテルに泊まった際の宿泊費は日本政府が出しましたし、武漢から日本政府のチャーター便を利用した人たちも航空券代は無料でした。そういった前例もあるからあくまで「要請」という形をとっているのかもしれません。もちろん要請に従わなかったからといって罰則はありません。要は休校要請や休業要請と同じですから。


高齢の親に迎えに来てもらうわけにはいかないので、理解がありそうな友人知人に頼むしかないのかなと思っていますが、さすがにこれは頼みづらいですよね、、、


そもそも私が今いる北京ではもう長らく感染者はゼロです。市中感染が絶賛拡大中の日本の方がよほど危ないと思うんですけれどね。

 

帰国の延期?


実は、中国政府は私のように帰国に困難が生じている外国人のために特例措置をとっていて、手続きなしで居留許可が2か月間自動的に延長されるそうです。


なので実は、帰国を少し延期することも検討しています。兎にも角にも、私にとっては上述の「公共交通機関を利用せずに帰宅」のハードルが高いんですよね。もっとも、一体いつになったら日本政府がこれを解除するのかはわかりませんから、少しくらい待ったところで何も変わらない可能性も高いわけですが。

 

終わりに


現在、我々は前例のない極めて特別な時間を過ごしているわけですが、それにしても、まさか退職や本帰国のタイミングで疫病のパンデミックが起こるとは思ってもみませんでした。


北京なんて、今はもう本当に平和そのものなんですけれどね。繰り返しますが、日本とは違ってこの街には感染者などいません。家の近くにある吉野家やサイゼリヤも最近では普通に繁盛しています。そんな安全なところから帰国するにも関わらず、ニューヨークやロンドン等の大流行エリアからやってきた人たちと同じ扱いを受けるわけで、仕方ないとは言え、やはり何も思わないわけではありません。


もう一つだけ、当ブログをチェックしてくださっているということは、おそらく読者の皆さんは反中ではないであろう、、、と期待するわけですが、コロナ絡みでの中国や中国人へのヘイトアクション(ヘイトスピーチなど)だけは本当にやめてください。その辺の中国人が新型コロナウイルスを作り出しばら撒いたわけでもなんでもないわけですから。皆さんが中国人をディスれば、そのヘイトは同時期に中国にいた私にも向けられたことになります。私からしたら「俺が一体何したってんだ!」と言い返したくなるわけで、それは一般の中国人も同じです。フクシマでの原発事故に関して、無関係なあなたが外国人に批判されたら不快ですよね? それと同じです。


兎にも角にも、現在そんな状況に置かれている日本人もいるということだけ知っていただけたら嬉しいです。なぜ嬉しいのかすら実はよくわからないのですが、やはりこういう時期に異国の地で独りということで、精神的にすごく健康とは言えない状態なので。