元中国在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて中国に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系中国ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

(要注意)中国国外から北京を訪れた際の隔離措置が大きく変わりました

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本日(2020年3月16日)から、中国国外から空路で北京に到着した全ての人に対する集中隔離措置が実施されることになりましたので、今回はその概要をお伝えしたいと思います。

 

概要


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する防疫のために本日から適用される新ルールの概要ですが、ざっとまとめると以下の通りです。

 

  • 中国国外から北京に来た全ての人を「集中隔離」
  • 空港に着いたら「新国展」(北京中国国際展覧中心新館)まで指定のバスで移動
  • 「新国展」で各区が手配した大型バスに乗り換え「集中観察所」(各区が手配したホテル)まで移動
  • 「集中観察所」にて14日間の隔離観察を受ける
  • 「集中観察所」では基本的な生活はできるようになっている
  • ホテル代は自己負担(費用はホテルによって異なる)
  • 事前にホテルに連絡して同意を得れば、家族や知人が食料や衣服等を届けることは可能
  • 例外として、妊婦や高齢者などで特殊な必要性がある場合は自宅観察も可能

 


要は、妊婦や高齢者でない限り、北京到着後14日間はかなり厳格な隔離観察が課されるようになったということです。日本政府が中国からの渡航者に課している「要請」とは大きく異なり、これは「強制」です。回避することはできません。


私は2月の中旬に北京に戻ってきて14日間の隔離観察を受けました。

 

chinalover.hatenablog.com


ただ、私に適用されたものと今日から実施される措置でははっきり言ってだいぶ異なります。どう違うのか、以下でご紹介したいと思います。

 

昨日までの措置との違い


まず、新型コロナウイルス対策としての「14日間の隔離措置」なのですが、だいぶ前から実施されており、何度かルールが改定されています。


私が2月の中旬に北京に戻ってきた時には、実は「外国から北京首都国際空港に到着した外国人は免除」という条項が付いていました。ですから、私には本当は隔離措置を受ける義務はなかったのです。


ただ、実際のところ、独自ルールとして構成員に隔離を命じていた企業や公的機関は多かったようで、うちの会社も全構成員に隔離を課していたため私もそれに従うことになったのです。ちなみに、その際にはもちろんホテルでテレワークをする前提でしたから、隔離中の給与はしっかり振り込まれましたしホテル代も会社持ちでした。


あとは、私に関しては外国人だからというのもあってホテルでの隔離になりましたが、当時は自宅での隔離もまだ可能でした。


そんなわけで、2月の時点ではざっくり言えば「要請」に近い運用となっていました。ただ、その後隔離は義務化され、「居住地区の自治会の指示に従うように」といった感じの運用に変更されました。


そして本日からはそれが更に厳格化され、行政が完全に取り仕切ることになったのです。


例えば、私が隔離を受けた時は、北京首都国際空港に到着後、普通にタクシーに乗ってホテルまで移動しましたが、仮に私がコロナに感染していたとしたら、運転手やその後に乗車するお客さんへの感染リスクが生じます。ですから厳密にやろうと思ったら、入国してから隔離が終わるまでは徹底的に行政が管理すべきということになるわけです。


隔離される側にとって最も大きな違いはやはり「自宅隔離ではなくホテルでの隔離に統一された」という点なのですが、ホテルでの隔離であっても、以前であれば先に家に寄って衣類や生活必需品をスーツケースに詰め込んで、、、ということが実は可能だったのです。もっとも、私は会社側から「どうしても必要なら家に寄ってもいいけれど、日本から来るわけだから日本で全部揃えてきたら?」と言われてしまったので空港からホテルに直行することにしましたが。


実際に経験してみてわかりましたが、14日間洗濯機なしで過ごすというのはなかなか大変です。手で洗濯をしたのなんて、私は多分今回が初めてだったと思います。今では洗濯機が非常にありがたい文明の機器に思えるようになりました。


あとは、ホテル代は自己負担ということで、会社等の所属機関が出してくれる人にとっては問題にならないのかもしれませんが、そうでない人にとっては自宅隔離の選択肢がなくなったことで経済的にも痛みが伴うようになってしまいました。


まあ要は、よほどの事情がある人以外は北京に来るな、ということですね。私のようにこちらで働いている人であれば、遅くとも先月中には戻ってきているはずですし。


個人的に今困っているのは、この措置が解除されないと一時帰国ができないということです。一旦国外に出てしまったら、戻ってきた時にまた隔離されることになりますから。その際にはさすがに会社もホテル代を出してはくれないでしょうし、欠勤扱いになって給料も日数分引かれることでしょう。

 

現在の日常生活


私は隔離期間を終え、既に完全に日常生活に戻っているわけですが、兎にも角にもやっぱりこの強烈な「自粛ムード」がしんどいです。


日本にもそういった雰囲気はあるようですが、そうは言っても、別に飲食店で食事ができないほどではありませんよね?


こっちの自粛ムードは次元が違います。飲食店はどこもやっていますが、とにかく人前でマスクを外せる雰囲気ではないんですよね。


あとは、ここしばらくもう北京では新規の感染者は出ていないので、もし自分が感染した場合に会社から何を言われるのだろうか、、、と考えると本当に恐ろしいです。何と言うか、今回のコロナというのは病原体としてというよりも、どちらかと言えばソーシャルに怖いですね。


他にも、現在アパートのある居住エリアに入る際にはゲートのところにスタッフがいて検温の義務があるので、「熱が出たら家に帰れなくなる」という怖さもあります。なお、スーパーに入店する際なんかにも体温のチェックがあります。タブレットサイズのマシンの前に立つと体温が表示され、基準値以下であればグリーンのシグナルが点灯して入店可となります。


世界中の人々が思っていることなわけですが、早く普通の状態に戻って欲しいです。本当に毎日”息苦しい”なと思います。

 

終わりに


とまあそんなわけで、今日から北京では入国制限がより一層厳格になりました。こんな時期にいらっしゃる方はいないとは思いますが、何らかの事情があって訪中を検討されている方の参考になれば幸いです。


それにしても、一体コロナはいつになったら終息するのでしょうかね。たまたま興味深い記事を発見しましたので、シェアしておきます。

 

taiwanlover.hatenablog.com

 


「新型コロナウイルス」ということで、「旧型」ももちろん存在するわけですが、それっていわゆる「風邪」の原因になっているウイルスですからね。今回のコロナも将来風邪になるようなものなのか、それとも違うのか、まあその辺が鍵になるのかもしれません。


今後どう状況が変化するのかわかりませんが、兎にも角にも、皆さんも体調管理には十分留意なさってください。

 

(※2020年3月16日追記)

 たった今届いた日本大使館からのメールで知りましたが、「単独の住居を有し、住居内にその他の同居者がいない者」に関しては本日以降も自宅での観察が許可されるようです。

 

(※2020年3月19日追記)

日本大使館からの連絡によると、本日より「単独の住居を有し、住居内にその他の同居者がいない者」に関しても自宅観察は不可となったようです。14歳以下の未成年や妊婦等の例外を除き、基本的には全員指定されたホテルでの観察となるようです。