元中国在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて中国に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系中国ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

中国で稼いだお金を効率良く国外に持ち出す方法と注意事項

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今回は、中国で稼いだ人民元を外貨(日本円など)に両替して中国国外に持ち出す方法、及びその際に知っておくべき注意事項についてご紹介したいと思います。

 

両替に関する厳しい制限


私のように中国で働いている者は皆人民元で給料をもらっているわけで、一時帰国の際などには母国で使うためにお金を国外に持ち出す必要が生じます。


他の多くの国であれば単に両替して手で持って行けば良いわけですが、中国政府は外国人が国内の富を外に持ち出すのを非常に嫌がっており、外国人には厳しい制限を課しています。


例えば、手っ取り早く空港にある両替所で人民元を日本円に両替しようとすると、「パスポート1つに対して約11万円分」程度しか両替を受け付けてはもらえません。しかも、ものすごく高い手数料を取られます。(※要は買いレートと売りレートが大きく乖離している。)


街中にある銀行で両替をする場合、レートに関する問題はありません。中値にかなり近いレートでほとんどロスなく両替をすることができます。ただ、外国人の場合は、後述する手続きを取らない限り、「1日あたり500米ドル相当額」までしか両替ができないルールになっています。要は1日あたりたったの5万円分程度しか両替できないわけで、これでは話になりません。

 

効率の良い両替方法


中国から一度に国外に持ち出せる外貨の上限は「5,000米ドル相当額」です。つまり約50万円ですから、いかに良いレートでその額の両替をするかというのが問題になるわけです。


「銀行のレートが良くて、1日あたり5万円分の両替が可能ならそれを10回繰り返せばいいのでは?」なんて思った方がいるかもしれませんが、そういうことは絶対に止めた方がいいと銀行員の方からアドバイスをされました。なんでも、そういう怪しい行動を取っていると口座がロック(一時的に凍結)される可能性があるのだとか。その行員さん曰く、「私たちのような末端の行員はその基準については知らされていない。でも、そういうのを監視する部署があって、そこの判断で口座がロックされることがある。」とのことでした。


ではどうすればいいのかという話になるわけですが、その行員さん曰く、方法は2つあるとのこと。まず1つ目は、「納税証明や雇用契約書等の必要書類を用意して手続きをする」方法。これをすれば中国での年収と同額までの両替が可能になるのだとか。ただ、私にはこの納税証明とやらがどこで取得可能なのかすらわかりませんし、私は中国語が一切話せないので通訳を用意する必要もあり、すぐに断念しました。


その行員の方が勧めてくれたもう1つの方法は、「中国人の知り合いに代わりに両替してもらう」というものでした。どうやら中国人であれば「1日あたり5,000米ドル相当額、年間で5万米ドル相当額」までの両替ができるそうで、50万円分なら一度で両替できてしまうとのこと。なので、多くの在中邦人にとってはこれが最も簡単で効率の良い両替方法ということになるかと思います。こちらで暮らしていれば、中国人の友人知人が皆無ということはまずないでしょうし。


具体的な両替の手順に関しても簡単にご紹介しますが、まず中国では、銀行に足を運んでいきなり両替したいと言ってもすぐにはできません。事前に外貨の用意をお願いする必要があるのです。例えば、私が北京にて両替の際に普段利用している中国建設銀行であれば、店舗に足を運んで必要な額と連絡先を帳簿に記入し、その3日後に受け取る形になります。


私の場合、まず中国人の同僚と共に銀行に行き帳簿に記入してもらい、3日間のうちに必要な額の現金をATMで引き出しておき(ATMでは1日2万元までしか引き出せないので50万円分だと2日かかる)、3日後の受け取り日に再度同僚と銀行に足を運び、窓口で自分の代わりに両替をしてもらっています。


私も色々と考えた上で中国人の同僚たちにも相談してみたのですが、この「銀行で中国人に代わりに両替してもらい、手で日本まで運ぶ」というのが今のところはベストな方法に思えます。

 

国際送金


上述のようなハンドキャリーでない方法としては、「国際送金」というのがあります。私はまだ試していないので上限額などの細かいルールは知らないのですが、ネット上の情報によると、中国の銀行の口座から日本の銀行の口座に直接送金することは可能ではあるようです。手数料は送金額の1%程度だそうです。


ただ、これには両替が伴うわけで、やはり納税証明や雇用契約書を用意した上での手続きが必要なようです。私はハンドキャリーで十分ですが、大きな金額を一度に動かす必要のある方は、しっかりと手続きをした上で送金をする以外に方法はないかと思います。

 

なお、そういった手続きなしで中国人の友人知人に代わりに送金してもらうことが可能なのかに関しては、正直現時点では私にはよくわかりません。後日試す機会があったら追記したいと思います。

 

(※2020年6月14日追記)

実際に国際送金を試してみたところ、案外簡単でした。

 

chinalover.hatenablog.com

 

国際キャッシング


これは番外編ですが、中国の銀行のキャッシュカードの中には、日本にあるATMで日本円として預金を引き出せるものもあります。別記事でいただいた情報によると、中国銀行のキャッシュカードは日本のセブンイレブンのATMで使えるそうです。ただ、私が持っている中国工商銀行のキャッシュカードはどうやらICチップの規格が日本のものとは異なるそうで、先日日本にある色んなコンビニで試してみたところ一切使えませんでした。

 

ちなみに、中国銀行のキャッシュカードにて日本のセブンイレブンで預金を引き出す場合は、1回10万円まで、1年あたり10万元までだそうです。なのでまあ、ハンドキャリーを補完するような使い方になるのかなと思われます。

 

また、中国で作ったクレジットカードを用いて日本のATMでキャッシングをすることも可能です。日本のセブンイレブンのATMで試したところ問題なく引き出せましたが、計算してみると引き落とし日までの利子等を含め合計で少なくとも5%程度は手数料で抜かれるようなので、ちょっと微妙かもしれません。

 

まとめ


ということで、今回は中国生活に付き纏う厄介な外貨両替の話についてご紹介しました。


結論としては、金額的に足りるのであれば、「銀行で中国人の友人知人に代わりに両替してもらってハンドキャリー」が最も簡単だと私は考えています。大きな額を動かしたい場合は、納税証明や雇用契約書を用意して手続きをした上で送金するしかありません。

 

ちなみに、不動産の売買や個人でのビジネス等、給料以外で得たお金を移動させたい場合に関しては、実際のところかなり厳しいようです。日中間を行ったり来たりしてハンドキャリーを繰り返すしかないかと思います。私は既にかなりの回数往復しましたが、日本でも中国でも空港で持っている現金をチェックされたことなど一度もありません。リアルな話をすれば、500万円くらいまでであればハンドキャリーで一度に運ぶという人は山ほどいます。ただ、お札には金属部分がありますから、大量に持っていればX線検査でひっかかる可能性があります。ルールはルールですからそういった方法はお勧めできません。


なお、短期旅行者が少額の両替をする場合は、もうレートのことは諦めて空港の両替所を利用すれば良いかと思います。


ちなみに、人民元から日本円であれその逆であれ、日本で両替するのだけは絶対に避けるべきです。中国の空港の両替所よりも更にだいぶ悪いレートが適用されることになりますから。


せっかくなのでついでに書いておきますが、日本からの旅行者が日本円を人民元に替えたい場合は、少額ならやはり中国の空港にある両替所を利用すれば十分かと思います。ある程度まとまった額が必要な場合は、国際デビットカードやクレジットカードを利用した国際キャッシングをお勧めします。両替所のレートが悪いので、手数料を考慮してもキャッシングの方が得です。これを利用する際には、国際キャッシングの利用枠が当該カードに付いているか、そして付いている場合はその額を渡航前によく確認しておくことをお勧めします。