中国在住サラリーマンの徒然なる日々

中国在住日本人サラリーマンが綴る中国ブログ。日々の生活の中で感じた取り留めもないこと、現地在住者ならではのリアルな生活情報などについて発信していきたいと思っています。ご連絡はTwitter(@superflyer2015)経由でお願いします。

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(行方不明児20万人)監視社会化を進める中国政府の意図

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今回は中国における深刻な問題を一つ取り上げてみようと思います。

 

行方不明児20万人


だいぶ前に、ネット上である記事(http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3644/1.html)を目にし、「中国というのは怖ろしい国だな、、、」なんて思ったのを今でも覚えています。

 

なんの因果か現在私は中国の首都、北京で暮らしているわけですが、やはり「中」に入らなければ見えてこないものというのがあります。

 

北京というのは東京と同じで、ずっとそこで暮らしてきた「地元民」などというのはほとんど存在せず、地方出身者の寄せ集めでできている都市です。私はこの1年間、実に様々なエリアからやってきた中国人たちとコミュニケーションをとってきたのですが、どうやらこの「乳幼児の誘拐問題」はまだまだ未解決状態のままであり、その背景にある「農村部と都市部の間の格差問題」も現在進行形で中国における最も深刻な問題として存在しているようです。

 

概要をかいつまんで説明すると、中国では農村部と都市部の経済格差がとてつもなく大きく、農村部で暮らす人々の中には極めて貧しい生活を送っている人たちが現在でも非常に多くいます。都市部は日本やアメリカと同じ典型的な資本主義が適用されていますから、不動産なんかの売買も自由にでき、自由に富を築くことが可能です。ただ、農村部の人々にはある種の第一次産業専従義務のようなものが課されていて、農地を勝手に売り払うといったようなことはできませんし、中国では戸籍や住民登録の変更は容易ではありませんから、都市部に移ることも困難です。例えば、中国では都市部と農村部では生活保護の支給額も極端に異なりますから、そういった制限を設けなければ、農村部の連中は大挙して都市部に押し寄せることになってしまいます。それなら生活保護の支給額を均一にすれば良いのでは?なんて思った方もいるかもしれませんが、そんなことをしたら中国政府の財政は即座に破綻してしまいます。中国と言うと、近年はお金持ちが多くいるイメージがありますが、人口は日本の10倍以上ですから、それだけ多くの人民を支えるためにはまだまだ富が極端に足りないのです。

 

最近ニュースでアメリカのトランプ大統領が中国に「貿易戦争」を仕掛けた件がよく報道されていますが、中国政府の連中が激怒するのも当然です。そんなことをされたら、冗談抜きに貧困層の中には食えなくなって死ぬ人が山のように出るわけですから。SNSなんかを見ていると、教養のない日本人の中には意味もなくトランプ氏を支持し、中国や中国人へのヘイトをポストしている人がたくさんいますが、私からしたらあまりにも浅はかです。同じ日本人として恥ずかしく感じます。

 

さて、そんな現状もあり、中国の農村部では「老いたら子供に養ってもらう」のが慣例となっています。私の会社にも農村部出身の社員がたくさんいますが、みんな要は「出稼ぎ要員」です。そういった連中の中には、地元に許嫁がいたり、奥さんがいたり、子供がいたりするケースも多いです。みんな徹底した節約生活を送っていて、給料の大部分を貯金し、定期的に家族に送金しているようです。具体的な数字を挙げると、農村部では月収は2万円程度であることが一般的なのに対し、例えば北京であれば、月収10万円程度もらえる仕事もたくさんあります。

 

そんな実状もあって、農村部に生まれた場合は特に「男の子の子供を持つこと」が至上命題とも言えるくらい重要になります。もちろん、約50%の確率で女の子も生まれてきますし、不妊症で子供を持てないカップルもたくさんいます。ですから、「お金を支払ってでも、他人の子供でもいいから欲しい」と思う人たちもたくさんいるのです。資本主義社会においては、十分な需要があればビジネスは必ず成立します。

 

結果、乳幼児の誘拐や売買を生業とするグループが数多誕生し、中国全土で幼い子供の誘拐が多発したわけです。行方不明児の数は20万人とも言われていますが、これは日本における中小規模の都市の人口に相当します。言うまでもなく桁違いの規模なのです。

 

道徳と倫理


こういう話をするとすぐに、「これだから土人国家は、、、」などと言う人がいます。例えば日本であれば、攫ってきた子供を売ろうとしても、買い手を見つけるのはそう簡単ではないでしょう。それは我々がそれを「いけないこと」と認識しているからです。

 

ただ、そういった道徳観や倫理観というのは、私が思うに後天的に、主に教育によって獲得するタイプのものなのです。例えば、今これをお読みの方の中に高校を出ていない人は皆無でしょうし、おそらくほぼ全ての方が、短大、専門学校、大学の何れかで高等教育を受けた経験があるかと思います。しかしながら、それは日本が先進国であるからであって、発展途上国における状況は大きく異なります。中国では、大卒どころか高校を出ていないような人も山のようにいますし、農村部では小卒も珍しくありません。まともな教育を受けたことすらなく、極端な話、動物のようなと言うか、極めて原始的な生活を送っている人たちがこの国にはまだまだものすごい数いるのです。

 

人が生きる上で、道徳や倫理等のある種の「規範」は多分必要でしょう。そして、教育なんていうものは、第一義的にはそういったものを獲得するためにあると言っても過言ではないのです。ただ、そういった教育を受ける機会を与えるためにもやはりコストがかかるわけで、対象が数億人ともなればその額は莫大です。人口は国力ですが、コストは規模に比例するのです。

 

「監視社会化」という選択


この問題を解決するために何か良い方法があると良いわけですが、例えばあなたがこの国のリーダーだったとして、何か良い案が浮かびますか?

 

結局のところ、何をするにしてもお金が必要であり、ない袖は振れないのです。

 

そんな中、中国政府というか、習近平氏が選んだのは「監視社会化」という道でした。

 

以下は私の勝手な解釈及び持論であることを先に宣言した上で続けますが、貧しい人たちに十分な富を与えることは兎にも角にも現状では不可能です。となれば、せめて誘拐や人身売買といった明らかに人道に反する行為だけは止めたい、と思うのは自然ではないでしょうか。

 

誘拐されてきた子供をお金で買うような人間は鬼畜だと私は考えますが、私腹を肥やすために乳幼児を誘拐するような人間は万死に値すると思います。

 

そこで現在中国政府は「監視社会化」を推し進めているわけです。指紋、声紋、顔の3Dデータ等、個人の生体識別情報を収集し、誰がどこにいるかを常に監視して、犯罪行動の抑止を試みているのです。更には人民の素行を監視して点数化し、「犯罪を犯さず品行良く生きると得になる」というキャンペーンを展開しているのです。

 

もちろん、近年ヨーロッパで高まりを見せている人権思想的にはこれはNGです。我々にはプライバシーに関する権利がありますから。ただ、中国人がよく言う「別に悪いことをしたいわけでないのなら、監視されても問題ないのでは?」という言葉もまあわからなくはありません。

 

何でもかんでもいきなり解決できるわけではありませんし、そもそもこれだけの規模の国家で治安の維持や人民の品性向上に取り組むという例はこれまでの歴史上には存在しないわけです。ですから、こういった政策がどう機能するのか、またそれが本当に正しいのか、それとも間違っているのか、そういった問いに答えられる者は現状ではいないはずです。

 

詳述はしませんが、中国にはマフィアのような犯罪組織もかなりの規模で存在するようで、人身売買だけではなく、臓器売買の闇マーケットも存在するのだとか。あとは、地方都市ではまだまだ犯罪組織と警察との癒着なんかも残っているようです。同僚たちが言うには、習近平という人物はそういった連中を心底憎んでいるのだとか。実際、ものすごい数の元政治家たちが現在牢屋の中にいたりなんかしますからね。ただ、規模が規模ですから、そういった状況を広範囲で改善するのは案外簡単ではないのでしょう。色んな力が働いているのでしょうから。ですから、ITの力を借りて一網打尽に、、、というのはそれなりに見込みのある策と言えなくもないのかもしれません。

 

終わりに


私は典型的な愛国者というか、わかりやすく言えば右翼ですから、中国人どころか一部の日本人女性なんかが大好きな白人も含め、外国人は基本的に嫌いです。余所者には日本に極力入ってこないでほしいし、自ら海外に赴きたいという気持ちも一切ありません。お互いに文化が根本的に違うわけで、「うちはうち、よそはよそ」という考えなのです。

 

ただ、やはり他所の話であっても、乳幼児の誘拐が横行しているなんて話を聞けば看過はできません。人間として絶対にやってはならないことのラインを超えてしまっているわけですから。

 

例えば、先日の豪雨で80代や90代の老人が亡くなったなんて話を見聞きしても私は何とも思いません。それはもう終わった人たちの話ですから。ただ、子供だけはどんなことがあっても守らなければなりません。彼らは未来そのものなのですから。国とか文化とか、そういうごちゃごちゃしたことはさて置いても、命をつなぐということだけは継続しなければなりません。そしてその鍵はいつだって子供なのです。我々全ての大人たちはかつて子供でした。我々は大人になった今、このことをよく認識し、真面目に考え、時に発言をしたり行動を起こしたりすることも必要なのだと私は考えています。

 

中国の食べ物は不味いし、何でもかんでも不衛生で汚いし、マナーが悪い人たちばかりですから、私はこの国が好きではありません。

 

ただ、公園で無邪気に遊ぶ幼い子供達のキラキラした笑顔はどこの国に行っても同じ。その子供達を温かく見守るママさん達の表情も万国共通。

 

もし私に強力なパワー(権力)があったら、そりゃどんなことをしてでも守ろうとするだろうなと思うのです。