元中国在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて中国に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系中国ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

(WeChat Pay&Alipay)中国では現金を持ち歩く必要がない!? 中国スマホ決済のリアル(微信支付&支付宝)

「中国ではスマホ決済が発展していて、現金を持ち歩く必要がない」という話を耳にしたことがある方は少なくないかもしれません。今回は、リアルな現状についてご紹介したいと思います。

 

中国の「スマホ決済」とは?


「スマホ決済」と一言で言ってもいろいろと種類があります。例えば、最近日本では「Apple Pay(アップルペイ)」なんかが普及し始めていたりしますし、他にも非接触型の決済手段はいろいろとあります。共通しているのは、スマホを読み取り機に近付けて、「ピッ」とスマホ内部にあるチップの情報を読み取る点だと思います。

 

しかしながら、中国で普及している方式はそれとは異なり、バーコードやQRコードを用いる方式です。

 

例えば、先ほど私は近所のスーパーで買い物をしてきましたが、スマホ決済を利用しました。スマホのアプリを立ち上げ、画面に表示させたバーコードをレジで見せ、お姉さんがそれを読み取り機でスキャンすることによって支払いが完了します。

 

また例えば、タクシーを利用した際などは、目的地に着いたら運転手さんのスマホ画面に表示されたQRコードを自分のスマホで読み取り、メーターに表示された額をアプリ経由で送金することによって支払いが完了します。要は、スマホアプリとQRコードを介することによって、誰とでも現金の受け渡しが可能になるということです。

 

もう一つ例を挙げると、こちらのレストランの一部では、食事が終わったら伝票に印刷されたQRコードをスマホアプリで読み取り、席に座ったまま簡単に支払いを済ませることが可能です。同行者がいる場合は、誰かがまとめて支払い、その人にその場で送金すれば良いわけです。

 

こんな話を聞くと、「恐喝に利用されるんじゃ、、、」なんて心配する方もいるかもしれませんが、お金の授受の記録はしっかり残りますし、このサービスを利用するためにはかなり厳格な本人確認が必要なので、変なことをやったところで逃げられないでしょう。

 

「微信支付」&「支付宝」


中国式スマホ決済の利用方法ですが、「微信支付(WeChat Pay、ウィーチャットペイ)」もしくは「支付宝(Alipay、アリペイ)」というサービスを利用することになります。これらは独立していますが、多くの場所で両方利用可能です。ただ、たまに片方しか利用できない場合もあるので、みんな両方を使える状態にしています。

 

まず、「微信支付」ですが、こちらはSNSの「微信(WeChat、ウィーチャット)」の拡張機能の一つです。ですから、「WeChat」というアプリをスマホにインストールする必要があります。このアプリは日本で言うところの「LINE(ライン)」みたいなものです。チャットはもちろん、無料通話や無料ビデオ通話もできますから、非常に便利です。

 

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次に「支付宝」ですが、これは決済に特化したアプリです。「Alipay」というアプリをダウンロードをすればOKです。

 

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肝心なのは、どちらのサービスを使うにしても、初期設定として銀行口座との紐付けが必要ということです。この作業自体は非常に簡単で、こちらの銀行のキャッシュカードの表面に記載されている番号と口座の名義人名、電話番号を入力するだけです。これさえ済めばあとはサービスを利用するのみ。店頭での支払い等だけではなく、携帯電話代の支払い、ネット通販などなどありとあらゆるシーンで利用が可能です。

 

中国では現金を持ち歩く必要がない!?


ここで冒頭の話に戻るわけですが、中国では現金を一切持たなくても生活できるのでしょうか?

 

答えは「できる」だと私は思います。というか、中国人の同僚の一人は実際、普段現金は一切持ち歩いていません。

 

どうしても現金が必要な状況ってあるのかな、、、と考えてみたのですが、思いつきません。日本だと、現金しか受け付けてくれないお店もまだまだ多いわけですが、こちらではかなり小さなお店なんかでも普通にスマホ決済が使えます。例えば、高齢者の中には、スーパーのレジで現金を出している人も少なくありませんが、スマホの画面を見せてスマートに決済している人も普通にいます。特に私がいる北京では地価が極めて高く、3世代が一緒に暮らすのなんて当たり前ですから、子供や孫から教わったのではないでしょうか。

 

必ずしも「必要」ではないという事実


どうもネットで情報を漁っていると、「中国で現金を出すと嫌がられる」といったような記述を結構な頻度で目にします。これに現在私は違和感を感じているので、ここで少しコメントしておこうと思います。

 

まず、現金払いが嫌がられるなんてことはさすがにありません。私はスマホ決済の準備が整うまでの期間、毎日何度も現金払いをしましたが、嫌な顔をされたことなんて一度もありませんでした。まあもっとも、レジ係の立場になれば、スマホ決済の方がはるかに楽なのだろうなとは思いますが。日本だと、レアな2,000円札を除けばお札は三種類しかありませんが、こちらには6種類もあり、さらにそれに数種類の硬貨が加わりますからね、、、受け渡しが煩雑であることは否定できません。

 

ただまあ、兎にも角にも現金払いを躊躇う必要は一切ありませんから、出張や観光等でいらっしゃる方は心配なさらないでください。

 

ちなみに、在住者でなくとも、中国の銀行に口座を開設し、上述のスマホ決済を利用することは可能です。銀行によって外国人に対する対応は異なるようで、ググれば口座を開きやすい銀行に関する情報は簡単に見つかるはずです。ただ個人的には、そこまでしなくても、、、とつい思ってしまいます。なのでその辺りに関しては、私は多分今後も書かないと思います。

 

まとめ


ということで以上、今回は中国で一般的なスマホ決済に関して現状をご紹介しました。

 

実は、バーコード及びQRコード読み取り式が普及した背景には、スマホのスペックの問題があります。高級スマホの代名詞であるiPhoneを持っている人が非常に多い日本とは異なり、中国で一般的なのは中国メーカー製のいわゆる「格安スマホ」です。もちろんスペックはある程度価格に比例しますから、低スペックスマホでも問題なく利用可能なバーコード及びQRコード読み取り式が普及したわけです。

 

この決済方法は、個人的には非常に便利で優れたものだと思いますが、日本で普及させようと思ったら、やはりネックになるのは悪用をどう防ぐかという問題でしょうね。いとも簡単に人から人へ送金できてしまいますから、日本人の場合、やはり不安を感じる人は少なくないだろうなと思います。決済方法一つとってもそこには国民性が反映されているわけで、なかなか面白いものですよね。

 

最後にもう一つだけ。同僚曰く、銀行の利率よりもアリペイの利率の方が良いそうで、給料日に預金をごっそりアリペイの口座に移す人が多いそうです。なので私も今後はアリペイメインでお金の管理をしようかななんて思っているところです。もっとも、私はなるべくこちらでもらった給料は日本円に換えて日本に持って帰りたいので、為替レートが円安人民元高に振れてくれる方が嬉しかったりするわけですが。